クレジットリスクとデフォルトランウェイの定量化

景気後退が始まってから、ハイイールド社債とバンクローンの発行体にとってデフォルトの大きな波が押し寄せるまでに少なくとも12か月間の猶予期間があります。

2019年5月17日


ハイイールド債とバンクローンの見通し

2019年第2四半期

要旨

米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)がともにハト派に転じたことにより、中央銀行が取り返しのつかない政策ミスを犯す方向に向かっているというリスク認識が後退し、これが支援材料となって、両地域の経済成長が年内に持ち直す可能性さえある。しかし、ユーロドル先物市場はFRBが2020年3月までに金融緩和を行うとほぼ確実視して織り込んでおり、市場は利上げ中止の効果を信じていない様子である。クレジット投資家は、年内および2020年に想定し得るあらゆるシナリオ展開に備えなければならない。

統計資料によると、仮に景気後退が今すぐ始まったとしても、ハイイールド社債とバンクローンの発行体はデフォルトの大きな波が押し寄せるまでに少なくとも12か月間の猶予期間を持てる可能性がある。しかし、2018年第4四半期に経験したように、市場のバリュエーションとファンダメンタルズにズレが生じるかもしれない。投資家はクレジットポートフォリオにおいて引き続き長期的な視点を持ち、景気サイクル後期のリスクを適宜管理すべきである。

 

本レポートのハイライト

重要な通知と免責事項

指数及びその他の定義

ここに表示された指数は、操作が可能なものでなく、直接投資の対象とすることはできません。指数のパフォーマンスは取引コスト、報酬または費用を含みません。

Credit Suisse Leveraged Loan Indexは、投資可能な米ドル建レバレッジ・ローン市場をトラックします。これは、「5B」またはそれ以下のローンから構成され、この指数に含まれる最も高いローンは、ムーディーズ/SPの格付においてBaa1/BB+またはBa1/BBB+です。すべてのローンは、先進国に所在する借手による最低1年満期の借入れ済みタームローンです。

Intercontinental Exchange (ICE) Bank of America Merrill Lynch High-Yield Index はハイイールド社債の一般的に使用されるベンチマーク指数です。

S&P 500 Indexは、米国において活発に取引されている500銘柄の株式を資本加重平均したものであり、経済全般の動向の尺度となるべく構築され、すべての主要産業を含みます。

ベーシス・ポイント(bps)は、ある商品の価値または利回りの変化を表すために用いられる計測単位です。1ベーシス・ポイントは、0.01%と同一です。

Contractual spreadとは、合意されたLIBORの上乗せ固定スプレッドをいい、約定価格およびディスカウント・マージンで示されたローンの想定年限を除外します。

The three-year Discount margin to maturity (dmm)、またはディスカウント・マージンは、ローンの利回り(yield-to-refunding)から現在の3ヶ月LIBORを差し引いたものです。平均満期は3年と想定しています。

London Interbank Offered Rate (Libor)は、無担保の短期融資の短期融資の際の銀行間の金利をいいます。

Spreadとは、同様の満期の米国債の利回りとの差を言います。

EBITDAとは、利払い・税引き前・償却前利益は一般に使用されている事業の収益力の指標。

 

リスクに対する考察

確定利付商品への投資は、信用リスク、流動性リスク、金利リスクおよび商品によってはカウンターパーティーリスクを負っています。これらリスクは、確定利付商品への投資が、一つの発行体、産業、地域または国に集中している限りにおいて、増大する可能性があります。一般に、確定利付商品への投資の市場価値は、とりわけ、元となる債務の対象債務者または合成証券の場合は参照対象債務の債務者もしくは発行者の財務状況、経済全般の状況、特定の金融市場、政治的イベント、ある特定の産業の発展またはトレンドの状況及び適用金利水準の変動状況に応じて変動します。

バンクローンは、様々な理由により非収益化したり不良化することがあります。非収益化した、または不良化したローンは、実態的に新しい条件のための交渉又はリストラクチャリングを必要とすることがあり、それが、とりわけ、利率の相当な減免、ローン元本の相当な償却等の結果となることがあります。加えて、特定のバンクローンは、高度にカスタマイズ化されているので、公に取引される証券に比べ容易に売買できないことがあります。セカンダリー取引市場においては、制約が課せられる場合があり、適切なレベルの流動性が確約されるわけではありません。ある種の銀行ローンにおいては、譲渡に当たって制約が課せられる場合があります。バンクローンに関連するリスクは、一般的に、プレミアムまたはペナルティーの受け払いなくいつにても繰り上げ償還が発生する可能性を含みます。

ハイ・イールド・デット証券は、一般に無担保であり、当該発行体の一部の他の債務よりも劣後することがあります。ハイ・イールド・デット証券が低格付けであり、投資適格未満のローンであることは、発行体の財務状況、経済全般の情勢又はこれら双方が不利に変化した場合に、元本又は金利の支払い能力を毀損する可能性がより大きいことを反映しています。投資適格未満の格付の証券は、一般に「ジャンク・ボンド」と呼ばれています。ハイ・イールド・デット証券のリスクは、とりわけ下記を含みます。 (i) 流動性及びセカンダリー市場のサポートが限られていること、 (ii) 適用金利水準の変化により市場において相当程度のボラティティが生ずること、(iii)ハイ・イールド・デット証券の発行者の収入が、 債務の返済にあたり不十分となる可能性があること、並びに (iv) 金利上場局面、経済の下降局面又はこれら双方により、このようなハイ・イールド・デット証券の発行体の信用力低下及び潜在的な倒産の可能性。経済情勢の悪化又は金利上昇により、ハイ・イールド・デット証券の市場が著しく毀損されることがあり、発行済のハイ・イールド・デット証券の価値及び当該発行体の元利金の返済能力に悪影響を及ぼす可能性があります。ハイ・イールド・デット証券の発行体は、レバレッジ比率が高いことがあり、従来からある資金調達ができない可能性があります。

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